言葉と映像のチカラで「人」「こと」をつなげる広告ユニット・トットロットがお届けする、ひと・ことマガジン

まちとひと

【自由が丘の粋な店 katakanaさん】

作り手と使い手の思いを繋げる
「運び手」でありたい。

01 奥様のために買った曲げわっぱの弁当箱が、日本のカッコイイを集めるきっかけに!

 お店の前を通るたび、ついつい覗きたくなってしまう「katakana」には、見ているだけで楽しくなる、カッコ&カワイイアイテムがいっぱい! TOTLOTマガジンオススメの雑貨屋さんだ。

 「オープンは2010年10月10日。『日本のカッコイイを集めたお土産屋さん』がコンセプトです。僕たちの身の回りにある、日本の良いモノだけを集めています」と話すオーナーの河野さん、実はアパレル業界出身。30代くらいまではニューヨークやパリなどの「海外ブランド大好き人間」で、日本製で好んで使っていたものは文房具くらいだったとか。

 「このお店を始めたきっかけは2つあります。1つ目は『曲げわっぱ』という木の弁当箱です。10年くらい前、妻が病気になり、強い薬を飲んでいた時期があったんですが、副作用で味覚をあまり感じなくなって。食べることが大好きだったのに食欲減退。楽しい食事の時間が、作業の時間に変わってしまいました。見ていることしかできなかったので、僕も辛かったです」と河野さん。

 ある日、奥様から「曲げわっぱのお弁当箱がほしい」と言われて「マゲワッパ?なんだろう」と思いながらも百貨店で購入。当時は秋田の伝統工芸品だということも知らなかったとか。翌日、そのお弁当箱にご飯をつめて会社に持参した奥様は、見事完食!

 「帰ってきて『おいしかった!』って言ったんですよ。味覚を感じないって、あれだけ苦しんでいたのに。曲げわっぱってそんなにスゴイのか!と感動しました」。その時、河野さんの中の日本の伝統工芸品に対するイメージががらっと変わると同時に、日本製品に対する興味が一気にわいてきたそうだ。

 実際、ご飯を美味しくしてくれる曲げわっぱの弁当箱は、いわゆる「お櫃」と同じように、内部の水分量を調整する。余計な湿度は取り除いて、乾燥からは守ってくれるという優れものなのだ。「お米の味がはっきりしてくるから、炊きたてのご飯より美味しいと言う人もいます。アルミやプラスチックのお弁当箱は密閉度が高いため蒸気が逃げず、低温で煮続けているのと同じ状態になります。おかずから水がでるのもそれが原因なんです。水分調節してくれる曲げわっぱだと、おかずもご飯も美味しく保てるんですよ」。

02 日用品、伝統工芸、工業製品ひっくるめて ニッポンの魅力を打ち出す店を作りたい!

きっかけとなったもうひとつの出来事が「海外の日本製品に対する評価」だったと話す河野さん。アパレル時代、買い付けのために訪れたニューヨークやパリで、仲良くなった海外の友人たちから「河野の使っている文房具、カッコイイね」という言葉をよく聞いたそうだ。

 「例えば、僕が使っているこのシャープペンも日本製。ぺんてるが1971年から作り続けている製品です。書き心地が良くて「カチッ」ていう音とのバランスもいいんですよね。アメリカ人やフランス人の友人が『いいね、いいね』って頻繁にいうので『僕らが当たり前のように使っている日本の製品って、海外の人から見たら面白いもの、カッコイイものに映るのかもしれない』と感じたんです。当時は日本の日用品、伝統工芸、工業製品ぜんぶひっくるめて『ニッポン』を打ち出している店が、あるようでなかったので、そういうものを集めた店を出そうと決意しました」。

03 作家さんのものづくりに対する思いや ストーリーを伝える「おしつけない接客」。

 「katakana」の店内に所狭しと並ぶ、200を超える作家さんのカラフルな雑貨たち。オーナーである河野さん自ら、全国で行われる見本市や、個人の作家さんが多く出展する手作り市、クラフトフェアに足を運んで、日本の良いものだけを見極め、仕入れてくるそうだ。

 「他にも『さがしモノの旅』に出かけます。地域と、毎週実施しているイベントに沿ったテーマを決めて、生産者さんや作家さんと会うんです。『katakana』が大切にしているのは、作り手の思いにあふれている商品。思いを感じる商品は長く使いたくなりますし、洋服なら身にまとっていても心地いい。『今流行りだから作りました』とか『今これすごく売れているんです』という商品には興味がないんですよね」。

 作家である作り手の思いを、使い手であるお客様に伝えるためにある「katakana」の接客は、特徴的とも言える。「販売目的の接客が嫌がられることは知っていますが、実はお客様が上手に販売員とつきあうと、すごくいい買物ができるのも事実なんです。だから『押しつけない接客』ができないかと考えました。その当時、商談でお会いしたツバメノートの専務が、ノートへの思いを1時間以上にわたって語ってくださって。感動しました。この作り手の思いを僕は聞くことができたから知っているけど、使い手であるお客様は知らない。だったらしっかりと説明をさせていただくことに特化していけば良いと気づいたんです」。

 お客様も同じノートであれば、作家の思いやストーリーのある商品を買ってみたいと思うはずだ、と考えた河野さん。「作り手」である作家さんやメーカーから思いを受け継いで、お客様である「使い手」へ、その思いを届ける「運び手」でありたいと考えているのだ。

04 売場づくりや定期開催のイベントにも、 お客様のニーズを上回る驚きの企画を反映!

 定期的にイベントを実施している「katakana」。お客様のニーズを引き出しながらも、そのニーズを一段階も二段階も上回る「驚きを与えられる企画や商品」にこだわっている。

 「イベントで人気なのはバッグ。革だったり、布だったり、年間通していろいろな作家さんを紹介しているので、評判が高いですね。他にもお財布や南部箒に特化したイベントも人気です。最近では、地元のお客様と一緒に店先でタコ焼きなんかを楽しむ夜市も開催するようになりました」。南部箒では「ダイソン買うか、南部箒買うか」というキャッチーなPOPも評判になったという。

 実際に売り場をつくっているのは、奥様を中心としたスタッフの皆さん。並べ方一つで売れ行きは大きく変わるという。「実際、VMD=ビジュアルマーチャンダイジングという技法もありますが、当店の場合はもう少し感覚的な部分も大切にして、商品をいかに魅力的に見せるかにこだわっています。イベント開始時には完璧に並んでいても、その状態がずっと続くということはありえません。どんどん売れていくので、常に変化します。その変化に対応して、より一層商品が生き生きとする見え方や置き方を模索するわけです。スタッフ全員が一緒に手を動かしながら、店舗づくりを進めています」。

05 作家さんやお客様との距離も近い自由が丘で、新たな事業展開をしていきたい。

 雑貨店激戦区・自由が丘でスタートした「katakana」も今年で8年目。

 実はあの渋谷ヒカリエで、5年間連続黒字を達成したという経歴もある河野さんは、あえて撤退した経緯に自由が丘という立地への思いを語ってくれた。

 「自由が丘のこの店舗が、お客様との距離も作家の方々との距離も心地いい場所にできたことが、とにかく大きかったですね。同じような店を大阪や神戸、福岡に出すというチェーン展開が、固定費を下げながら儲かる仕組みをつくる方法になるということは、アパレル時代の経験からよくわかっていたんですが、逆に在庫の負担を考えるとリスクにもなる。それなら『自由が丘のこの店舗が目的地になるような展開をしていきたい』と思ったんです。例えば洋服メインの『カタカナ洋品店』や、作家さんの作品が並ぶ『カタカナギャラリー』、美味しいご飯が食べられる『カタカナ食堂』。『今度の連休がは東京行こう!面白そうなことやっているお店が何軒かある自由が丘に行ってみたい!』と、全国から人が集まるような事業展開を実現していきたいですね」。

katanaka/カタカナ 2010年オープン。日本の作家さんの良いものを集めた、こだわりの雑貨店として全国から人が集まる人気店。日本の伝統文化と外国から取り入れた文化の融合のバランスの面白さを「katakana/カタカナ」という店舗名で表現。ガラス張りの店舗は、夜になると店内の光がきれいに見えて中の表情も変わるので、昼間には気づかなかった商品に出会うことも。デザイナーさんが作ってくれた2色のロゴマークは、今やお店の顔となる重要なアイテムとなっている。